2015年12月25日金曜日

蔡英文第二回政見発表立論内容


先ず私は朱主席の今の指摘について簡単に答えたいと思います。朱主席は中小企業で成功した多くの若者たちのケースもあると言いました。その通りです。私の著書「英派」の中でも多く書き、見てもきました。しかし私が朱主席に言いたいのは、それでも多くの人たちがまだもがいている最中であり、その数は成功した人たちより多いかもしれないということです。彼らはおそらく新北市や、桃園にはいないかもしれません。台湾のほかの地域に沢山いるのです。よって、私は宋主席の話に賛同します。朱主席には台湾の地方に沢山に行ってもらって、本当の状況を見てもらいましょう。私は319の全ての町に行きました。私は宋主席にそのことについて報告したいと思います。

経済成長について、朱主席は自分が行政院副院長の時の経済成長率が最も高かったといいましたが、忘れてはいけません。ちょうどその1年前が金融危機であり、そのときはマイナス成長のときです。2年目が比較的高くなるのは当然のことです。朱主席に言いますが、私が行政院副院長のとき、数年続けて経済成長率が6%近くありました。ここ数年で、経済成長があれほど維持できたのはその期間だけでしたし、実際馬総統が言った六三三は、その時に我々が既に実現させていたのです。経済区域からという考え方はもう古く、輸出と加工を基にした考え方は、私たち現代のイノベーション産業に対しては時代遅れです。

私が提案した五大イノベーション産業は、台湾の産業を次の世代の産業のあるべき姿にシフトさせるものであり、イノベーション産業のあるべき姿は伝統産業とかけ離れるものではありません。実際我々の言う国防産業も、バイオ医薬産業も、多くのパーツがあり、金属加工業といった伝統産業の力を借りるものです。よってこれらは台湾全体の産業に発展をもたらすのであり、幾つかのハイテクノロジーのことだけではないのです。次に私は皆さんに私の両岸政策についてお話したいと思います。
 
私は早い時から、両岸交渉に関わり参与してきました。1998年、私は辜振甫氏と一緒に北京に行って、既に5年以上中断していた「辜汪會談」を再開させました。この会談は全世界でも注目を浴び、我々は何度も事前にシナリオを練って、目標の両岸交流を成功させようとしました。更に重要であったのは、我々は「対等」を維持しようとしたことであり、台湾の民主と主権の意義を、相手と国際社会に完全に示したことです。話し合いに際しての、辜振甫氏の動じることのない、臨機応変な振る舞いが印象的でした。2000年、台湾最初の政権交代のときに、私は大陸委員会の大臣でした。私たちのチームは、相手側に対して非常に多くの働きかけとコミュニケーションを進め、最後に私たちは小三通とお正月のチャーター便を成功させることが出来ました。そして、我々は台湾香港の航空権の話し合い、台湾マカオの航空権の話しあいも完成させたのです。私は、当時の我々のチームは、中国大陸に対して、落ち着いて平常心で一つ一つの挑戦に立ち向かってきたと誇りをもって言うことができます。

ここ数年、辜氏の両岸協議に向かう姿勢が、私のお手本となっています。より困難なときに、交渉者は一層落ち着いた態度で臨み、確実に政策を決定しなければいけません。両岸交流の課程では、個人の利益や党派の考えを入れてはいけません。争論の多い議題であればあるほど、国民のコンセンサスを優先し、決して幻想的な歴史的位置付けのために、台湾人の尊厳と台湾が大切にしている民主と自由を犠牲にしてはならないのです。もし 辜さんがあの世で見ていたら、國民党の上層部が中共の観兵台に座っている姿や、馬習会談の際の馬総統のパフォーマンスを、一体どう思うでしょうか。

両岸関係は、2,300万人の人民の利益と長い目で見た福祉に関わっています 。私がもし総統に当選したら、私は政党を超えて、異なった意見に耳を傾け、堅実な民意の基礎、信頼される両岸関係の交流のしくみを作ります。つまり、私は「現状維持」という「台湾コンセンサス」を中心として、中華民国現行の憲政体制に則って、過去20年余りの両岸協議と交流の成果を基礎として、両岸関係の平和的安定した発展を進めて行きます。

私は、将来は三つの大原則に基づいて、両岸問題に対応していきます。第一の原則は、コミュニケーションです。私の政策決定は民主的な仕組みに則り、オープンで透明性のあるものにします。私が制定を主張している「両岸協議監督条例」により、両岸政策が人々の監督を受けられるようにします。

第二の原則は、誠実ということです。私は言ったことはやり遂げます。軽々しく約束はしませんが、した約束は必ず守ります。このような政府こそが、台湾の人々や国際社会から尊重されると考えています。

第三の原則は、両岸関係は選挙の時の話題操作に利用されるべきではありません。私は、どの政党も選挙のために、極めて敏感な両岸関係を道具にして、利益を得ようとしてはいけないと考えます。

私がもう一度強調したいのは、両岸問題の対応は、国内の最大のコンセンサス、両岸の相互理解、及び国際社会の十分な支持が必要です。よって、国内、国際、両岸について、コミュニケーションに次ぐコミュニケーションをはかり、周到で有効な民主の過程を通じて、人々にも参加してもらうということです。
同時に、誠実さもって、言ったことは必ず成し遂げ、政策に一致性、安定性をもたせ、不確定要素をなくしていきます。 

更に重要なのは、私は決して個人や政党の利益を国家の利益よりも優先させるようなことはしません。台湾の人々の将来で博打をするようなことはしません。私はこのような約束をしっかりと守り、両岸関係を互いにメリットがあり、波風立たせないものにしていきます。民進党は両岸問題を避けたりしません。ずっと、我々の立場は非常にはっきりしています。我々は中国のことに何もかも反対するわけではありません。よって、私はこの機会を積極的に利用して、国民に再度はっきりと民進党の両岸関係の立場を説明します。

私は、国民党が最も私に聞きたがっていることは、私が言う「現状維持」と、馬総統との現状維持は何がちがうのか?ということです。私の回答は、もちろん違うということです。私の「現状維持」は、民主的で透明性があり、人々の参与があり、密室で行われることがなく、さらには民主主義を後退させない、ということです。私の「現状維持」は公平正義の維持、全国民との共有、一部の人の独占にさせないことです。蔡英文の「現状維持」は台湾人の選択権を確保しますが、馬総統の両岸政策は、人々の選択肢を制限するものです。私の横にいる朱主席は、以前馬総統の両岸政策を分配が不公平で、特権の疑惑があると批判していました。

そして、国民党は常に台湾人を脅し、彼らの所謂「九二コンセンサス」を受け入れるよう迫ってきました。彼らの「九二コンセンサス」は、もし「九二コンセンサス」がなければ、どのように「現状維持」をするのか、ということです。これについて、私が特に強調したいのは、民進党は1992年の両岸会談の歴史事実は否定していませんし、その年に双方が相互理解の精神を持ち、異なる点を認めながら同じ点を求めること、両岸関係を前進させたいとい願ったこの協議の過程と事実について、認めているということです。これも両岸交流の蓄積された成果の一部分です。

2000年の後に、国民党は「九二コンセンサス」をつくり上げましたが、「九二コンセンサス」の内容は、両岸の間でお互いの認識がかなりずれているばかりか、國民党の内部でも多くの違ったバージョンがあり、何度も変化しています。洪秀柱副院長は、「一中同表」と言い、朱主席は「両岸は一つの中国に属する」といい、馬総統は「馬習会」での公の挨拶で、「九二コンセンサス」は「一つの中国という前提で達成したコンセンサス」と言いました。
こう言った言い方は、次第に北京側の両岸関係の主張に傾斜しており、より多くの台湾人、特に若い世代の心配の種になっています。自分たちで台湾の将来を決定するという選択権、それを守りきれるかどうかということ。

朱主席は数日前、九二コンセンサスを受け入れないことは、挑発だといいましたが、これは、とても危険な白黒思考の一つであり、朱主席の両岸問題に対する厳粛な考え方が欠如していることを示しています。人々が心配しているのは、共感の欠如です。選挙で政治的な攻防をすることだけを考えて、台湾の自主的な空間を縮めてしまっているのです。

ここ数年来、国民党は「九二コンセンサス」の問題で混乱し、台湾内部に長期的な争いを作り上げ、馬総統の支持率と信任度は下降し続けてきました。
この厳しい事実を、国民党は自分ではっきりと認め、厳粛に受け止める必要があります。私はこの問題で引き続き消耗する必要はないと思っています。92年の両岸会談の基本事実と「異なる点を認めながら同じ点を求めること」の精神に立ち返るべきだと考えています。もし私が総統に当選したら、私は中華民国の現行の憲政体制に基づき、並びに民主の原則に基づいて、最大の民意を基礎として、両岸政策を推進していきます。

多くの主張について、私たちは喜んで討論しますし、最大の努力をし、台湾と中国大陸の間に、互いに受け入れられる道を探していきます。我々は、両岸が穏やかな態度で、理性的に問題を話し合える事を希望しています。


親愛なる台湾の皆さん、包容、和解、団結、は私が政治家になって以来、終始堅持している事です。この国家は本当に団結して一つにならなくてはいけません。台湾は台湾人の台湾であり、中華民国も台湾人の中華民国です。

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